・ ことのなりゆき

 数ヶ月前、戦乱のゼンティカー発売と同時に、M15とテーロスがスタンダード落ちしてしまいました。
 ぼくがそれまで使っていた白単トークン(急報、貪る光、白単アジャニなどを使う)は結構な自信作で、それが使えなくなった喪失感のせいで構築意欲もわかず、そもそもFNMに出ることすらむつかしく……

 しかし先日、いろいろな要素のおかげでFNMとゲームデイに出られる機会が巡ってきたので、デッキの構築を決意しました。



・ 所与の条件

 0からデッキ構築をするにあたって、いくつか前提条件がありまして

①勝ちたい ――しかしどんなデッキがあるかわからないから、レシピを晒している知人のダークジェスカイには少なくとも勝てるような構成に

②既存のどのデッキでもないものが望ましい ――個人の好みですね。変なデッキなら相手のプランを崩せるし、同じデッキパワーならばより知られていない方が勝ちやすい……という実利的っぽい言い訳も一応できますが(ちなみに、既存のデッキに似ているかどうかの判断はぼくの主観です)

③フェッチを使わないほうがいい ――だって色が出るかどうかだけの土地に高い金払いたくないじゃん!

 ……というのが出発点でした。
 まあこの時点でぼんやりと、手持ちのカードの中ではカードパワーの高い搭載歩行機械を使った、対抗2色デッキ無色タッチかなあ、という構想はまとまりつつありました。


・ クソデッキ編

 変なデッキは好きですが、勝てないデッキほどみっともないものはない、とも思っています。
 よって、いろいろなデッキを考えては、無慈悲に没にして行きました。
 具体例を上げると――

○白単タッチ黒タッチ無色神話実現トークン
 軽い呪文を連打して神話実現を育てつつ手札を使いきり、あとは海門でドローしたり白黒ミシュラランドで殴ったりする構想。露骨に以前使っていた白単トークンへの妄執が見て取れますね。
 回していてカマキリやドラゴンが止まらないしそっちのほうが早いことが発覚してあえなくボツ。それに実質的に3色デッキなので色もちょっと辛かった。ああ貪る光を使いたい……

○黒単タッチ無色
 ハンデスとか、リリアナ+搭載歩行機械のコンボとかで自分の手札をなくして海門でアドを稼いだりして、肥やした墓地を活かして奈落の総ざらいでフィニッシュ! というシステマチックなムーブがなんだかよさそうに見える意欲作(自分で言っちゃう)。
 次元の歪曲と闇の掌握を合わせて8枚使えるのは強そうだったし、ミシュラランドを廃して代わりに採用した荒廃ランドや苗床がいい仕事もしていた気がします。
 ……が、ハンデスとか奈落の総ざらいとか、状況を選びすぎるカードがスロットを圧迫している閉塞感が辛かった。除去だって本質的にはそうですしね。その上、一枚一枚のカードパワーが高いとも言えないのが悲しさ。
 予見者があればなんとかなりそーな気もしたけれど、リリアナも合わせて手に入らなさそうだったし、調整する気力がわかなくなってきてボツ。

○青単タッチ無色パーミッション
 2ターン目に置いた搭載歩行機械を育てつつカウンターや次元の歪曲で相手を捌いていき、ようやく出てきた相手のフィニッシャーをシルムガルの魔術師で打ち消す! 濫用した搭載歩行機械から湧いて出る飛行機械とも合わせて、そのまま空の大群で殴り勝ち!
 理想通りに動けりゃそりゃ強い……が、さすがに線が細すぎてボツ。まあ次のローテでの実用化に期待します

○触手デッキ
 3ターン目に反射魔導師! 4ターン目に千里眼! 5ターン目に反復で探した押しつぶす触手! オールバウンスでタコがのこって反射魔導師を再利用で超強い!
 ……という妄想。4ターン目のソーサリータイミングで場に触らない千里眼がまあ胡散臭い。まあボツ。そもそも青白で友好色ですねこれ。搭載歩行機械とのアンチシナジーもさりげなく悲しい

 ほかにもいろいろとっちらかったことを考えていて、気がついたら建国記念日、ゲームデイの2日前になっていました……
 腹をくくって、改めて、真剣に、ヒラメキを求めて、半年前に購入した4枚の搭載歩行機械と向き合ってみました



・ 搭載歩行機械は強い編

 この搭載歩行機械というカードは、予約段階では200円くらいのカードでした。初見では「ああ、アーティファクトデッキではいい働きしそうだね」くらいの印象でしかなかったのでしょうね。
 しかしそのアーティファクトデッキの活躍で注目され、アブザンアグロにも入り始め、その他とくにシナジーも強くないデッキにも採用されることになりました。カードパワーの高さが徐々に明らかになっていったのです。

 このカードのなにが、そのカードパワーを見誤らせたのかというと、それは見た目の大きさだと推測します。
 1マナ払ってタップしてようやく+1/+1大きくなるだけかよ……と思いがちということです。しかし、死亡後に飛行機械トークンが1体余計に出ることを考えると、潜在的な成長スピードは+2/+2だったりします。2倍だぞ2倍。
 そしてその潜在的なマナレシオは、生物が死にやすいというMTGの特性によってよく顕在化します。1マナインスタントタイミングで死んだり、コンバットで死んだりします。MTGは本当に生物が死にまくるゲームで、追放やバウンスで対処可能とは言え、死亡時効果というのは本当に頼りになります。(……え? 反射魔導師? だでぃそでぇー(’◇’)?)

 その点を踏まえて考えると、攻めっけのある戦略のほうが搭載歩行機械をより使いこなせるという結論に至りました。遅いデッキで使っても全然弱くはないんですけどね。壁がいくらでかくなってもそれで勝てませんが、攻めるデッキならば打点が増えればそのまま勝てますからね。



・ ようやく構築編

 どうせ攻めるなら1マナ域から動こうと考え、自然と速槍採用と、仮想敵であるダークジェスカイのカマキリを超えるべく道の探求者も内定。白贔屓が作用した部分もなくはない。あとは穴埋め式に火力とスタンスとギデオンとサルカンと……って感じで構築が進んでいきます。

 自然と赤白ビートダウンとなりました。

 しかし優秀な低マナ域クリーチャーたちではあるんですが、サイズが一回り上の相手にはやはりインパクトが足りませんでした。攻め続けるには、とくに、立っているオジュタイやら雷破を効率よく超える必要がありました。
 果敢との兼ね合いで強化スペルを使おうと思いもしましたが、なんだかどれもこれも強そうでない。万戦の幻霊を使わせろ。除去もなんだかスタンス以外はろくでもなくて……と死にそうになりながらスタンダードのカードリストを眺めていました

 ――そしてついに見つけたのが! この『伝染性渇血症』!


>Infectious Bloodlust / 伝染性渇血症 (1)(赤)
>エンチャント — オーラ(Aura)
>エンチャント(クリーチャー)

>エンチャントされているクリーチャーは+2/+1の修整を受けるとともに速攻を持つ。毎ターン、それは可能なら攻撃する。
>エンチャントされているクリーチャーが死亡したとき、あなたはあなたのライブラリーから《伝染性渇血症/Infectious Bloodlust》という名前のカードを1枚探してもよい。そうしたなら、それを公開してあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。



・ 伝染性渇血症は強い編


「何そのカード?」と対戦中に確認されることがママありました。(それもそのはずで、ぼくは他人が使っていないカードを使いたくなるタイプなんですよ。テキストの確認を求められるとちょう嬉しくなりますわ。やってやったぜって気分になります)

 カードを上から見ていきたいと思います。

① 伝染性渇血症 ――フレーバに富んだワクワクさせる名前ですね

② (1)(赤) ――重くはないですね。1ターン目にクリーチャーを出していれば、次のターンにはエンチャントできますね。4マナあればスタンスも構えて対応の除去を躱せるのがいい感じですね。

③ イラスト ――全体的に赤っぽいですね。ラクドス教団を描いているものでしょうかね。

④ オーラ ――果敢を誘発てきでいい感じですね。速槍と探求者がいますからね。

⑤ +2/+1 ――パワーが大きく上がるのがいいですね。ふたまわり上の相手と相打ちするすごいお得ですからね。タフネスが1増えるのも、さりげなく嬉しい。

⑥ 速攻付与 ――悪くはありませんね。探求者と合わせて4マナでぶん投げると5点絆魂速攻パンチでいい感じですね。

⑦ 攻撃強制 ――言うほどデメリットには感じませんでした。これが困るゲームはその時点で負けているでしょうし。むしろコンバットトリックを持っているかどうか迷わせる利点があったりなかったり……ってこれはさすがにうそだけどさ

⑧ サーチ効果 ――このカードの一番特徴的な部分。前述のとおり、クリーチャーの死に様は多くの場合死亡なので普通に誘発しまくります。枚数のアドで見ても損がありませんし、盤面に速攻の2打点を多く供給し続けるのがひたすら強い。万戦の幻霊使いたいと思っていたら赤い万戦の幻霊が使えたわ

 ……とまあ、強いことしか書いていませんね。パワーカードといっても過言じゃないです、はい。

 オーラという点で、スタックでエンチャント先を除去されるとアド損っちゃ損なんですけど、実際にフィズったのは1,2回くらいだったのは自分でも意外でした。もしかしたら、オーラというカードタイプの価値は過大に割り引いてしまっているのかもしれませんね……



・ パワーカードとパワーカードを組み合わせると強い編

 搭載歩行機械も伝染性渇血症も、除去されたところで打点が減らない、という同じ方向性のカードでした。よって"除去されても毎ターン攻め続ける"というコンセプトでデッキ全体を統一することができました。こういう点では、以前使っていた白単トークンの魂を受け継いでいると言えますね(まだ妄執してるよ)

 搭載歩行機械に伝染性渇血症をエンチャントすると、もうものすごく破壊に対して強い生物になります。
 3/2を殺すと今度は飛行持ちの3/2が産み落とされるっていう状況になります。それに、越えられないクリーチャーがいてアタックしたくないときは攻撃前にタップ能力を使うという小ワザもあったりするので、まあ基本的には無敵といってもいいでしょう(えっ、反射魔導師? ……おいたんだえ(@ ̄ρ ̄@)?)


 ……と、長くなりすぎていたので具体的なレシピとか戦績とかは次の記事書きます。


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